NENOiのブログ

ここに書いてある事は店主が感じた事、考えた事を記していますが大抵のことは既に先達が書いています

夏に向かいつつある場所で冬に向かいつつある場所のことを思うこと

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こんにちは、早稲田にあるカフェスペースのある本と雑貨のお店NENOiの店主です。

先日、Instagramで紅葉した落ち葉の写真を見かけました。あれ?こんな時期に紅葉した落ち葉?と一瞬思いましたが、それはオーストラリアに住んでいる友人の投稿でした。

店主はかれこれもう7年くらい前になりますが、10年勤めた会社を辞めた後、3ヶ月ほどオーストラリアのメルボルンという街に滞在した事があります。
メルボルンにした理由は単純にオーストラリア大陸にまだ上陸したことがなかったから(そういえば四国もまだない)。
なので、南半球=南国、ゴールドコーストグレートバリアリーフ!くらいのイメージしかなく上着などもパーカー1着とかそんな程度でした。
9月のメルボルンは寒かった。。。

南半球と北半球では季節の巡りや、水が流れる際に発生する渦の巻き方が逆になることなど「事実」として知っていても実際に体験することではまた違うことを実感した出来事でしたが、その紅葉した落ち葉の写真はそんな体験を呼び起こしてくれました。

『旅する木』という店主が大好きな本があります。アラスカに魅せられアラスカの風景、情景を撮り続けた写真家星野道夫さんのエッセイなのですが、その中に「もうひとつの時間」というタイトルのお話があります。
その中にアラスカでホエールウォッチングに参加した人のエピソードがあります。そこで彼女はクジラの大ジャンプを目にします。その出来事からずっと後に、その時の事を「行って良かった事」として星野さんに語るくだりがあります。その中にとても印象的な言葉があります。

「(略)私が東京であわただしく働いている時、その同じ瞬間、もしかするとアラスカの海でクジラが飛び上がっているかもしれない、それを知ったこと…(略)」

店主はアラスカのクジラの大ジャンプを見たことはありませんが、「もうひとつの時間」があるという事を自分の身体に染み込ませる事ができたのはその3ヶ月なのかも知れないと思いました。

『旅する木』とてもいい本なのでぜひ読んでみてください。文庫なので値段もお手頃です。(当店にも在庫あります!)

 

nenoi.jp


あと、メルボルンもとてもいいところなのでコロナが落ち着いたらみんな行ってみるといいですよ。行く際のガイドには下記の本がおすすめです。

 

nenoi.jp

 

本当は先月末くらいに書き出していたのですが、どうにも書きすぎたり、うまくまとまらずほぼ夏になってからの投稿になってしまいました。すみません。

後、書きながら気付いたのですが「機動戦士ガンダム」でオーストラリアはブリティッシュ作戦コロニー落とし)によってシドニーは無くなってしまっているのですが「ポケットの中の戦争」でバーニィが「シドニーは今頃雪だなろうな」って話して「シドニーは今は夏だ!」ってバレてしまうけど、そもそも無くなっているのにそんなツッコミ入れながら「この潜入者め!」みたいな感じで襲い掛かりますかね?
ほんとどうでもいい余談でした。(ハイゴックかっこいいよ、ハイゴック)

 

休業に至る病。或いは当店が休業を決めた理由。

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こんにちは、早稲田にあるカフェスペースのある本と雑貨のお店NENOiの店主です。

一ヶ月に一回はnoteを更新していきたいと書いてきたのですがだいぶ間が空いてしまってすみません。

いくつか記事を書き出してはいたのですが、書いている途中から愚痴の様な怒りの様な話になってしまい、かつ面白くないというものにばかりなって全然公開できていませんでした。

今回もそんなに楽しい話にはならないと思ってはいるのですが、当初できる限り開けておきたいと考えていた当店が今なんで休業しているかについて一度ご説明しておいた方がいいのではと思っていましたのでこの駄文をつらつらと書いています。

上記にもあります通り、現在店舗は休業しています。
しかしながら四月七日の時点では出来る限り開けておくつもりでした。その日のツイートでは下記の様な投稿しておりました。

 

 

ちょうど、この時期位から新型コロナに新生児が感染したという報道や二十代の若者なども重症化する事例が報告され始めてきました。

当初言われてたような「重症化するのは六十代以降」というものではないと認識を改める事になりました。

もはや誰もがかかってもおかしくなく、また同時に誰もが重症になってしまう可能性があるウィルスの感染場所になるのは避けたいという気持ちが強く出てきました。

 

ただ一方でお店を初めて三年目、ようやく黒字(ただし人件費はないものとする)になり始めてきた矢先の事態で、グズグスとしながらモヤモヤと過ごしていました。

 

そんな最中に東京都から休業協力金の案内が出てきました。申請できるか五分五分ではと思いながらも最終的にはこれが決定打になり、休業する事を決めました。

協力金は一回限りでこれでは当店にとっては一ヶ月分位がせいぜいで何ヶ月も持つものではありません。
家賃がもっと高いお店や従業員のいるお店などでは話にならないレベルの金額だと思いますので休業しないお店もよくわかります。

また、外に出る事を抑制するというなら業種を限定するのではなく休業を決めたお店全てに支給しないと効果は中途半端なのではという疑念もあります。

 

幸いうちの子どもを預けている新宿区の保育園は休園はしていないのですが、親がテレワークを中心となっていて子供でも重症化する可能性がある中、子供だけが普通に通わせ続けるのは無理だという判断も休業を決める際の要因にありました。

 

当店よりも長く書店を経営され、また最近までお店を開けていた谷中のひるねこブックスさんの記事にもありましたが、店主も休業を決める少し前の時期、毎日お店を開けるかどうするかと頭を悩ましていました。そんなある雨の日、子供を保育園に連れて行くため電車を利用した際、ソーシャルディスタンスも気を払う素振りもなく多くの人が電車を利用して乗り換えのコンコースのエスカレーターですぐ後ろに立ったり、脇を駆け抜けていったり…。

 

マスクをする事が必ずしも予防には有用ではないとわかってはいるものの、マスクせずに近くに来る人や貴重なマスクを汚したくないのか、くしゃみする瞬間にマスクをずらす人などにいちいち心が、感情が揺れ動く自分のストレスに近いうち限界がくるなとも感じていました。

 

新刊も多く扱っているので日々仕入れもしていますし、ありがたい事に休業前に古本が来たりしていました。
その度に「お店開けたいなぁ」と素直に思います。


でも、どこもかしこもピリピリとストレスを溜め込んでギスギスしている人たちの中でお店を開けて自分がニコッと笑っていられるか自信がありません。

 

まるで整理されていない書き殴った様なまとまりのない文章ですが、こんな風にごちゃごちゃとすっちゃかめっちゃかな気持ちでこの休業期間を過ごしています。

確か『海辺のカフカ』に出てきた言葉だったのではないかと記憶していますが「絶望には底がない」という言葉。正直ここ最近はこの言葉を実感する事が多いです。

 

それでも三年目という事でこれまでの二年間に育んできたネノラーとの交流に今は本当に助けられている事が多く、心に燈が灯る日々でもあります。

 

 

この世界の片隅でI(アイ)と叫ぶ

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こんにちは。
早稲田にあるカフェスペースのある本と雑貨のお店NENOiの店主です。

 当店では毎月Running & Book (& Beer)という本屋なのに走るイベントを開催しています。ありがたい事に雨で開催できなかった日を除き、参加してくれる方が必ずおり、なぜか女性の方の参加率が高いに傾向あります。

 先日、普段から夜にも走るという女性の方が参加された時のお話が余りにも予想外で衝撃的でした。店主が
「夜も走るんですね。店主の妻は『夜は怖い』とまず一人では走りませんよ。」
と話しかけるとその方は
「大丈夫ですよ。いざとなったら逃げ込める場所を5箇所くらい用意してますから」(ト笑顔)
 店主としては「夜走るのは気持ちいいですよね。」みたいな言葉を想定していただけにあまりにも予想外のコメントに走りながら固まってしまいました。

 少し聞いてみるとやはり少し賑やかな場所とか走っていると、酔っ払いを中心に声をかけられる事があるとのこと。
 対して店主は夜に走っても、一度も「いざとなったら逃げ込める場所」とか考えた事なかった事に気づきました。
 店主が過去に遭遇した事があるのは道に迷ったと思しき警官に「〇〇ってこっち方面ですか?」と道を聞かれた事と、オリンピックイヤーでもないのに井の頭公園の酔っ払いに「オリンピック出るのか?」と声かけられたくらいで、身の危険とかを感じた事もありませんでした。
 それだけに、夜に走る行為一つで男性と女性という、ただそれだけでこんなにも違うのかとしばらく呆然となりました。

 それで思い出したのですが、大学生の頃、友人数人で飲んでいた時、その内の一人の携帯電話に着信がありました。友人はその電話に出て、しばらく電話の向こうの人物と話していました。時折、耳に入ってくるやり取りは特に緊急性を感じるものではなく、何故電話を続けているんだろう?と訝しんでいたところ「あっ自宅着いた?おっけーじゃあ電話切るわ。」という一言で唐突に電話は終わりました。
 後で聞いたところ、夜に犬の散歩に出ていた妹から電話だったそうです。「通話状態にしておけば何かあった時にすぐにわかるから」というのがその時の電話の理由で、その当時はそういうもんかね、と聞き流していたのですが、今ならその電話も意味もよくわかります。

 なんでこんな事を書いているかというと先月の記事ですが北海道は札幌に”かの書房”という本屋があり、そこの店主さんがブログで下記の様な事を書いていました。

踏み込んで私生活を聞いてくる初対面の方が増えたことが一番大きな負担になっているのです。
「彼氏はいるのか」「結婚してるのか」などを聞いて来られる男性、初対面で実家の住所を聞き出そうとする方などもいらっしゃいました。
そのため、初めてご来店される方々に必要以上に警戒心を抱いてしまいます。
はっきりと恐怖を抱いたのは、年が変わるすこし前のことでした。
店を閉めた直後から、自宅までつけてこようとする方がいらっしゃいました。
お客様かどうかはわかりませんし、途中、コンビニに逃れたので、私に何か被害があった訳ではありません。

(かの書房がゆく!2020/1/9 の記事より)
https://kano-syobo.hatenablog.com/entry/2020/01/09/120612

 店主は上記のランニングの時の事があったので「やっぱりそうなのか」という気持ちでした。女性一人だとそこに付け込まれるのかと。
 同時に悔しい気持ちにもなりました。お店を始めたいと思った人がただ女性というだけで、阻害されてしまうのかと。

 Twitterでも多くの女性が痴漢にあったり、危ない目にあったりしている「日常」を投稿しています。つい先日も大阪の中津駅で女性が痴漢されたのち、襲われたという事件の報道がありました

 最近では「フェミニズム」という言葉よりもともすれば「ポスト・フェミニズム」という言葉の方がよく見かける様に思います。
ポスト・フェミニズムという概念がある事はなんらおかしい事ではないし、理解もできます。けれど今の日本においてはまだまだ「ポスト(達成された過去)」として語る前に「プレゼント(現在)」を見て語るべきなのではないかと感じます。

 フェミニズムは、多くの人がご存知の通り女性の権利を求める思想ですが、目指している場所は「男女平等」です。ただ徒に権利を求めているわけではないのです。

 ローザ・パークスが白人専用と書かれたバスの席に座りたかったから、座ったのと同様に女性だって、一人で安全にお店を開きたいし、夜に走りたい。
痴漢されても泣き寝入りで、声をあげたら「された方にも問題があるのだ」なんて言われたくない。

 もっと言えば、男性だから女性だからとか変なジェンターロールや人種、国籍さえも超えて「「わたし、I(アイ)」は私である」とどんな人でも言えないと環境は悲しいと店主は思います。もちろんそのバックグランドに自身が人種や性別、国籍に誇りを持つことは何もおかしいことではないですし、両立する事柄だと思います。

 そこに求められるのはシンプルに「他者への敬意」を持つことだと思うのですがどうでしょうか?

 何だか色々書いた割には単純な事しか書いてないですが、単純である事と、簡単にできる事は同じではないですし、またする事が複雑になると何をすればいいのかがわからなくなります。
(「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」が「42」であるのと似てますね。。。。似てませんね。。。)

日本財団が行っている最新の18歳意識調査では日本は残念ながら下記のように将来に前向きではないという結果が出ています。

「将来の夢を持っている」、「国に解決したい社会課題がある」との回答も他国に比べ30%近く低い数字となっています。さらに「自分で国や社会を変えられると思う」人は5人に1人、残る8カ国で最も低い韓国の半数以下にとどまり、国の将来像に関しても「良くなる」という答えはトップの中国(96.2%)の10分の1。全体に途上国、欧米先進国のいずれと比べても数字の低さが際立つ調査結果となっています。

日本財団「18歳意識調査」第20回 テーマ:「国や社会に対する意識」(9カ国調査)より)
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2019/20191130-38555.html

 店主は少なくとも女性がもっと暮らしやすい国になれば、この意識もだいぶ改善されるんじゃないかなぁと思っています。
 それだけでだいぶ変わるのならと思うとちょっとワクワクしてきませんか?やっぱり「男も女もみんなフェミニストでなきゃ」!

何度でもノーヘイトと歌え

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あけましておめでとうございます。
早稲田にあるカフェスペースのある本と雑貨のお店NENOiの店主です。2020年もどうぞよろしくお願い致します。

新年最初の投稿だと言うのに、今回は恥を忍んでの告白めいたお話になり、やや気が重いです(今でも公開しようかまだ悩んでます)。

店主はいわゆるヘイトスピーチに代表されるような差別的な言動にはスルーではなく反対の声をあげるようしたいと最近思っています。

以前は「〇〇は民族として頭がおかしい」や「〇〇はNHKを支配している」などの言葉はあまりにも馬鹿げていたので、読むにも値しないとある意味冷笑的な高みに立ち、無視していました。

しかし、それらの悪意ある差別の言葉達が、ひた、ひたっと赤ワインに赤インキを一滴ずつ混ぜ込むように静かに深く染み込んでいっていたことに気づきもしませんでした。

店主には所謂、在日朝鮮人の友人が複数人います。ハングルを解する人もいれば、自分らの世代はハングルはわからないと言う人も、それぞれ性格もバラバラです。共通点といえば「店主と友人」である事くらい。

ある日、その中の一人と会っていた時に、店主にとって少し意外な行動をその人がとりました。余りにも些細な事すぎて何を具体的にしたのか覚えていないくらい些細な事でした。その時

 

「あぁ在日だからかな」

 

と唐突に心の中でそんな言葉が湧いて出てきました。余りにも自然に出てきたので、その場で呆然となってしまい、その後どんなやり取りをしたのかよく覚えていないくらいです。

 

心底怖い

 

と思いました。自分でも思いもしないような言葉が自らの内から湧き上がっていた事実に心底怯えました。その友人のみならず友人全てに申し訳ないと思いました。Twitterまとめサイトなどで日々溢れているそれらの言葉は名もなき毒のように日常の中に染み込んできて、気づかぬうちに店主の内面を食い荒らしていたのです。その事に気づいた瞬間店主は愕然とし、我が身を恥じました。

店主の場合は友人達と、また旅行先などで会った韓国の人たちの思い出がそれを「毒」であるとわからせてくれますが、それがなければ知らぬ間に飲み込まれてしまってたのではないかと真剣に思います。

在日や韓国の人へのヘイトに限らず、その他の海外の人や、時にはハーフの人への嫌がらせやいじめもよく耳にしますし、実際に当事者から聞いた事もあります。

店主には保育園に通う子供がいます。その保育園ではハーフの子がいます。子供達はその子がハーフかどうかなど全く気にせずに遊んでいます。彼ら、彼女らは国籍、人種なんて全く気にしません。

もし、その年齢で何かあるとすればそれば親からの影響に過ぎないと思います。でも同時に子供の頃に染み込んでしまったものってそう簡単に拭えるのだろうかと思うと、子供と一緒にいる事の重大さに時として立ちすくんでしうまう事があります。

近年では何かを調べようするとき「ググる」事から始めるのが普通だと思いますが、例えば「韓国 歴史」とキーワードを入れて検索すると出てくる情報をみても明らかなように、デタラメと悪意にまみれたサイトがたくさん出てきてしまいます。もしそれらを読んで「事実」だと思ってしまったら?

別に正義感とかそういう事ではなく、ただひたすらに我が身とその手を伸ばして届くようなささやかな範囲の人たちを守りたいというエゴのみで、その汚いヘイトや嘘を無くしていきたいと思う次第です。


2020年は既に毒の回ったこの体をいかにデトックスしていき、同時にヘイトにはヘイトだと言い続けていくかを課題と目標の一つにしたいと思っています。
また、自分の眼差しが常に正しいわけではないという意識も持つ続けていきたいと思います。ナルケマレバンガカピカッピ。

タカシくん

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またやっちまった。
3本目のタバコに火を付けながらタカシは思った。
タカシは今年3件目となる職場の中華料理屋で、コック長(つまり店長)と喧嘩して店を飛び出したばかりだった。

どうしていつもこうなっちまうんだろう?
俺だって一生懸命にやっているのに。
どこにいっても、結局ゴタゴタを引き起こしちまうんだ。

良くないことは続くもので、落ち込んだりしたとき自然と足が向いてしまう多摩川もタイミングの悪い事に今日は日曜でBBQやら乗馬体験会などで騒々しかった。
タカシは自分とは関係ないところで展開されているそれら喧騒をどこ見るとなしに眺めていたが、それらが本当に自分と全く関係してない事に突然のように気づいて、まるで自分が社会から無視された存在のように感じた。

まるで俺は社会から無視された、虫。

などど愚にもつかない駄洒落が思い浮かんではさらに落ち込んでしまう始末。
当然元気になるはずもない。

途中コンビニで買った水も既になく、余りのまずさで途中で食べるのをやめたコンビニ弁当の残りが初夏の日差しで温められたせいで、もあっとビニール袋から臭ってきて、タカシはさらにげんなりした。

何やってんだろうな俺。

とそこへ突然携帯電話が振動し、着信を知らせる。
ハッと我に返りタカシは慌てて電話に出た。

「タダシか?」

店長だった。タカシは着信先を見ないで電話に出た事を後悔した。

「・・・・いや違います。タカシです。」
「!!・・・・そうだった。タカシ、どこで油を売っているんだ。もう仕込みの時間だぞ。とっとと戻って来い。」

店長の余りの意外な言葉にタカシはしばらく言葉を無くした。

「いや、でも俺クビじゃ・・・・」
店長はタカシが全てを喋り切る前に
「寝言は家に帰って寝てから言え。いいからとっとと来い。今日はヨンさんもお休みでこちとら猫の手でも借りたいくらいなんだ。」
「・・・・」
「お前はこんな中途半端な状態で放り投げてすっきりするのか?いいか原因はお互いの中華を愛するが故の行き違いなんだ。確かにそこは譲れない部分もあるが、それ以外の点では私はタダシを評価しているんだ。だから戻って来い。」
「・・・・・タカシですって」
「!!・・・と、とにかく、早く来い。待ってるぞ。お前にしてもらいたい仕事はたんとあるんだ。」

実の所、タカシは名前は間違えられたものの店長の思いもかけぬ言葉が嬉しくて上手く言葉を紡げずにいた。
そして

「わかりました。今から戻ります。でも店長一つだけ言わせてください。」

「やっぱ、酢豚にパイナップルはいらないっすよ。」

そう言って電話を切った後周りを見回し、ふとここにいる人たちの何人かは帰りにうちの店に夕飯でも食いにくるかもなと思った。

そしたら飛び切り美味いチャーハンご馳走してやるよ。

と小さく呟きながらタカシは自転車にまたがり、べダルにかけた足に力を込めた。

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【追記】
こんにちは。
早稲田にあるカフェスペースのある本と雑貨のお店NENOiの店主です。
noteは月1回くらいの更新でいけたらと思っていたのですが、先日『夢中さ、きみに。』という漫画を紹介した際にふと「この本の中に酢豚にパイナップル」という事が出てくるお話を昔店主も書いたなと思い出し、思った以上にあっさりと発掘できたので今回引っ張り出した次第です。2007年5月に書いたもので、写真を撮った際にふと思い浮かんだスケッチのような架空のお話です。
こういう創作も楽しんでいただけるようなら余裕のある時にでもまた投稿します。

何だか僕らは電脳化してしまうね?

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こんにちは。
早稲田にあるカフェスペースのある本と雑貨のお店NENOiの店主です。

少し前の事ですが、ワイヤレスイヤホンをしたまま車の運転をしている人を見かけました。
見かけた当初は、自動車のスピーカーで存分に音楽かければいいじゃないかと思ったのですが、イヤホンしたままでいればイグニションキーを回した(最近の車はキーレスエントリーがもはや主流なのでこんな表現もその内なくなってしまうかも)後にラジオのバンドいじったり、CD入れたりとかUSBケーブルで繋いだりとか音量を調整したりなどせずにシームレスに音楽を聞きながらドライブを始められるんですよね。まるでベイビー・ドライバーみたいに(彼は有線イヤホンでしたけど)。

 

 

加えてスマホとリンクさせて音楽等を聞いている場合、電話があった時などでもそのまま対応できるなど、もはや外す意味がないくらいになっていることも容易に想像がつきます。
そんな中、月刊「左利きの女」のメルマガに興味深い一文がありました。

いわゆるこの腕に巻いている製品はウエアラブルデバイスと呼ばれる類のものなんですが、自分との一体感。つまり、目覚まし時計は他者的存在であり、このウエアラブルデバイス(バンド)は、自己なんですね。だから腕でブルブルされても怒らないわけだ。(2019.11.21 fri 発行 vol.20メルマガ「左利きの女」のことも。そうでないことも。より)

そうなんです。スマホのアラームは不快だけれど、身につけて身体に同一と認識されるくらいなものになると、そのアラームは全然不快でないのです。
バイスが身体と同一化されればされるほど我々はそれを自分のものとして受け入れられるのだと思います。
とするとその先に見えている世界は「電脳化」なのではないかと店主は思ってしまうわけです。
「電脳化」というのは『攻殻機動隊』という映画やアニメにもなっている人気漫画の世界の技術で、脳に直接、小さな機械(マイクロマシン)を組み込み、神経細胞と結合させ、脳と外部世界を直接接続する事ができ、多くの人が日常と電脳世界を常に行き来しています。
流石に2019年のこの世界ではまだ電脳化は実用化はされていませんがテスラのイーロン・マスクを始め多くの人が実用化を目指し取り組んでいます。

それにしても、我々は気がつくと何かとコネクトした状態になっている事が日常生活の多くを占めているようなっています。現にこの文章を書いている時もまさにnoteというサービスにコネクトしている店主がいるわけですしね。 そんな中、びっくりする様な記事を見かけました。

 

www.moneypost.jp

 

2時間程度でもネットワークからディスコネクトするのが嫌なのかと驚きを覚え、瞬間的に思いメモしたのは下記のような事でした。

(ネットワーク等と)繋がるという快楽を知ってしまった我々はもはやそこから離れるという事は簡単ではありません。
その時、スマホを通して見ているものがお笑い番組の動画だったとしても、経済誌のコラムだったとしても、大事なのはその内容よりもその情報と繋がり、ひいては情報を元にさらに繋がれる人たちのなんだろうと思います。
もっと言うと実際には存在しなくてもそこに「存在すると信じられる」のならばそれで十分なんだと思います。そういう意味ではマトリックス的なディストピアであって我々はネオやトリニティーの様にはなれず存在しないステーキだとわかっていても存在したステーキを食べた気になれる世界を選ぶサイファーににしかなれない様な気がします。(店主のiPhone のメモより)

とここまで書いて残していたのですが、同時にスッキリしないものもありました。

そこでもう少し考えた結論は「我々は退屈という時間をどんどん駆逐していっている」という事なのではないかと思いました。


きっかけは飯田橋駅での乗り換えの時の出来事でした。電車の中ではみんながスマホを見ている事はもはや当たり前の風景ですが、その中の幾人かはスマホの画面を注視したままフラフラとゾンビの様に歩き出し、移動していったのです。何か大事な打ち合わせ、メールの確認などでの場合もあるとは思うのですが(それならば一旦立ち止まった方が建設的な対話になると思いますが)、エスカレーターで前にいる人、追い抜いていく人などの画面は動画やゲーム画面ばっかりだったのです。(そしてまた飯田橋駅は乗り換えに時間がかかるんですわ。)

 

これまでも「行列などの待ち時間」「乗車している移動時間」「食事中」などに本を読んでいた人を見かけたり、実際店主も経験があります。けれどそれはその作品のどハマりした時やハンバーガやサンドイッチなどを片手にとか程度でスマホ片手に残りの手で箸を持ち器に顔を近づけて箸を時々鼻の中に刺してしまいながら食べるという感じではありませんでした。

 

スマホは間違いなく便利で時間潰しにも困りません。そんなスマホがこれまで退屈の筆頭であった「行列」などへの退屈を駆逐にあらかた成功すると、今度は移動という身体行動もまた「退屈」の対象として駆逐をしようとされ始めている様に思います。
退屈を消すはずが結果的に退屈の領域が広がっているという皮肉な現象が発生している様にも思えます。なので映画上映中でも、つまらない映画に当たった場合や、映画の中でも少し締りのゆるい場面などで「退屈」に近い感覚を覚え、より「楽しい」ものへと繋がっていったのではないかと思ったり。でもスマホの光は映画上映中には銀紙を歯で噛むくらい不快なので本当にやめてほしいので、自身の退屈をスマホ以外などで解消できない人は早く電脳化してほしいと思ったりもします。
ただ電脳化したら脳ごとハッキングされちゃう危険がありますよねぇ。あれは本当に怖いので店主は電脳化はしたくないなぁ。

ちなみにスマホまだ身体と離れており、実際歩きスマホなどのながらは結構危ないですよね。

 

さらに、ちなみにイヤホンしたままの運転も外の音を聞こえにくくしてしまうという事で道交法違反になる可能性もありますので、お気をつけて。

それではまた来月(ってこんな感じでいいのかしらん。。。。)

 

 

note始めました(3年目に向けて)

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こんにちは。
早稲田にあるカフェスペースのある本と雑貨のお店NENOiの店主です。2017年10月27日に開店し、おかげさまで2019年10月27日に無事2周年を迎える事が出来ました。
3年目という事で気持ちも新たにとnoteを始めました。今後月に1度くらい散文を書けていければと思います。

さて、今回は3年目を迎えた当店の現状とこれからについて書いていきたいと思います。明るくめでたい景気のいい話を書ければよかったのですが実態としてはなかなか…。

2年続けた現状としてはまだまだ赤字で貯金を崩している状態です。個人店をやるなら3年は頑張らないと定着しないという言葉もあるので3年は続けようと思っておりましたが、それなりに貯金がないと3年続けることも難しいのだなと実感しています。

現状

・メディア掲載数など
確認したところこの2年で大体10回くらいメディアには掲載されているようです。インタビューなどで使われているなどを含めるともう少し増えて14回くらい。反応としてはやはり紙、WEB媒体問わず新聞掲載は大きい様に思います。
※メディア掲載情報はこちらにまとめています

SNS(フォロワー数、使ってみて)
Twitter-  1940フォロワー
投稿した事への反応が一番多いように感じるSNSです。

Instagram  - 760フォロワー
フォロワー数が結構増減する印象のあるSNSです。あまりコメントなどは無いのですが、「インスタで知って」とお見えになる方も結構いる印象です。

Facebookページ -  310いいね
他二つに比べて平均年齢高め。イベントページなど作れるのでイベント管理に活用すると便利。

・場所的な要因ならではの客層
全てにというわけではないのですがなるべくSNSでは英語の表記もするようにしています。こちらは早稲田大学の近く、日本語学校が比較的多い場所柄なのか日本語がネイティブではない方も結構います(お店にも来ます)。なので店主の英語の研鑽も兼ねてSNSでは英語投稿もしています。

・売上など
実態としては先に書いた通りまだまだ赤字です。いくつか理由もあると思いますが、まず絶対的に売上が少ない。それとメイン商材となる本の掛け率の高さが大きい。
当店の場合、規模が小さい事もあり、基本買切りにて仕入れを行うわけですが、返本可能な取引と掛け率が何も変わらないのは少しどうにかしてもらえたら大変助かるのになと思ったりします。

イベントやってみてどうだったか?

イベントには2種類あると思っています。トークショーなど著名な人をお呼びして行う単発タイプと継続してしてコミュニティーのように育てていくタイプ。中には著名な人も参加する読書会なんてハイブリットタイプもあるかと。当店は前者も時折行いつつ、後者のコミュニティーのように育てていけるような継続可能なイベントを主軸に行なっています。

・角打ち
日本酒を提供するイベント。
本とお酒好きな人が来てくれるイベントになってきた気がします。

・R&B(&B)
本屋で集まって走るイベント。
問い合わせや、話すと面白がってくれる人が一番多いイベント。天気にも左右される事もあり、安定して人が来てくれるイベントまでには至らず。

・詩する詩人の会
詩や詩情を感じたものを紹介、朗読するイベント。
あまり大人数での参加を望んでいるわけではないので、こじんまりと開催できているのはとてもいいけれど、もう少し会員が増えていったら嬉しいなとも思う。

(・英語絵本の読み聞かせ)
絵本も扱っているのでと始めてみましたが、なかなか人が集まらず、イベントとして定着せず。たまに「次はいつですか?」と聞かれたりもする。

・展示
展示があるからといって劇的に人が来るというわけでもないのですが、やはり展示作品目的でのご来店、展示で作品を知っての購入などもあるので今後も機会を見つけて、積極的にやっていきたい。んが、まだ「展示ができる」という事が定着していない印象。
展示したい人、版元さん募集中。

どのイベントも参加者については一進一退を繰り返し少しずつ増えていっているように思われます(英語絵本の読み聞かせは除く)。一方で内輪のノリにならないよう新しい人に「入りにくいな」と思われないように開かれた場である事をお店としては守っていきたいと思います。
定着させることはそう簡単ではないですけれど、お店同様「いつも開いてる」「継続している」がない事には定着しようもないのではと思っています。

希望の芽があるから続けるんだよ

現状としてはまだまだ苦しいわけですが、じゃあなんで続けているの?というわけで続ける理由は以下になります。

売上は伸びている
まだまだ売上としては十分ではないし、大幅増ともいかないですが前年同月比増は続いており、単月黒字の月も出始めました。どうにかそのまま損益分岐を越えて伸びていって欲しい。

リピートしてくれる方や注文をしてくれる方が増えている
開店した当初は早稲田大学のすぐそばにも関わらず学生さんが全然来なかったりしたのですが、最近は学生さんも来るようになってきたりリピートしてくださる方に幅が出てきたように感じます。
また本をわざわざ当店で注文してくれたり紹介した本の取り置きが増えてきています。ちなみに今までで一番遠来からの取り置きの依頼はオランダかメキシコ(どっちの方が遠いかな?)。

「嬉しい」がある
来てくれた方とお話ししたりとか「あの本面白かったよ。」とか「コーヒー美味しいね」とか言われるのは嬉しいです。ほんと嬉しいですよ。生の声が聞けるって。

この先したいことと課題

お店の姿勢として
本をメインに雑貨もあってカフェスペースもあるお店でありたいが基調ですが、何をメインにするかは結構簡単に心が揺れたりします。

イベントの追加
イベントはまだいくつか新規にしたい事などもあるのですが、中にはR&B(&B)のようにお店を飛び出すイベントもまだしたいと思っています。
またトークショーなどでも店主それなりにファシリテートできたりするのでイベントを主体となってやっていきたいと思っています。

オリジナルグッズ
トートバッグとかあったら楽しいかなぁと思っています。通販サイトとかでも展開しやすいアイテムの一つかなと思う。

お休みの日の店舗使用したい人の募集
店主がお休みの時はお店も閉まるのですが、そういう日にある程度のことならできるはずなので、誰か活用してくれないかなぁ。
ミニキッチンとかあるし、少しレイアウト変えれば体を使うイベントもできると思うし。

近隣との連携
「近隣」の定義にもよりますが、近くの異業種の人とのコラボで本とスイーツとかあるいは本屋スタンプラリーとか。
前に少し考えたのは本屋を走って巡る本屋巡りランニングツアー。問題は走るときは軽装になるので最後のお店以外では本が買えないのではという問題点があり棚上げ中。

課題
一方でイベントなどの時にお店番をできる人がいないのでお手伝いできる人がいればなと思います。
都度誰かを探すというよりは「この人」いますよ的になれば理想なのですが、なかなかねぇ。

結び

以上につらつらと書いてきましたが、本屋をしたい人を鼓舞する事もできず、またネタになるわけでもなく誰が読むのかなと思う内容になってしまった気もしないでもないですが、3年目も一人でも多くの人にファンになってもらえる様に頑張ります。
あと、お店やるならキャッシュがないと本当に大変だよと思います。
作家業と同じで副業しながらできるならその方が気持ちの面でも楽だと思います。
ただ、ちらほらと耳にする様に「本屋」や「個人店」だけで暮らしていけないというのが最終的な答えになってしまうのは悔しいなぁ。
そんなわけで「副業をせねば」と考えてしまう日もたくさんあるけれども店主は今日もお店を開けるのです。