NENOiのブログ

ここに書いてある事は店主が感じた事、考えた事を記していますが大抵のことは既に先達が書いています

zine生いろいろ

ご無沙汰しています。久しぶりの更新です。
当初は「開店日記のように開店準備を綴ったブログや本はたくさんある反面、閉店日記みたいなものってあまり無いなから書いてみようかな」と思い立ち、書き始めてみたりもしたのですが「これはテンション上がらんわ」と当たり前のこと気付き早々に筆を放りだしてしまいました。
開店はいい、疲れていても「これから起きる新しいこと」にワクワクしその興奮に身を委ねながら書き切ることができます。しかしながら「これから終わって無くなること」を書き続けるのは(意外とあれこれとする事のある)閉店作業と並行して進めるのはかなりしんどい。何事もやってみないとわからないものだという事実を実感しました。

というわけで今回はzineについて書いてみようかと思っています。と言っても内容の話ではなく。。。

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本は一般的にどこでも同じ値段で購入できるので基本的に店舗の規模が大きければ大きいほど様々な種類の本を扱っている本屋になります。
また店頭になくても時間さえ気にしなければ注文すれば手に入れることができます。
そんなわけでこだわりの選書をしていると言われる事の多い、所謂独立系の本屋(インディーズ系本屋と呼びたい)は選書をしているというより「スペースが十分にないので泣く泣く選別している」というのが実情かもしれません。
ただそうなると結局より多くの本を揃えている本屋に品揃えという意味では負けてしまいます。もちろん絞ったことでともすれば見過ごされてしまういい本が目に入るようになって特定のインディーズ本屋でよく売れる本というのも出てくるだろうと思います。
そんな本と本屋を巡る状況がある中、ISBNなどもなく一般に流通していないzineと言われる同人誌、自費出版本は一般的な書籍に比べて「マイナー」である半面「そこでしか買えない」という付加価値と共にお店に個性を与えてくれるものになります。
経営的にもzineとお店がうまくハマると「他の本屋さんでは手に入らない事が多い」という性質上、売り上げを支えてくれる強力な相棒になってくれます。けれど上手くハマらない場合、ちょっと扱いに困ってしまう場合も。。。
そんなzineと本屋との関係、相性についてお店での経験からちょっと書いてみようかなと思います。なお以下に書くことはあくまでも個人的な経験によるものなので常に当てはまるものではない事を予め付記しておきます。

1.こんなzineがうまくいく(事が多い)その1、お店の事をちゃんと見てくれている人

お店を構えているとzineの売り込みを受ける事が結構あります。メールだったり事前にアポ取った上でのご来店だったり、飛び込みできたりと様々です。メールについてはその文章の内容でテンプレ使ってまとめて送っているのか、お店ごとに丁寧に書いているか読み手にはすぐわかるので、内容を踏まえて「この人いいな」と思うくらいしか判断材料はないですが、店頭にお見えになる方とはお話しする機会が必然生まれるのでぜひ沢山話してみてください。その人が「面白いな」と感じた場合、そのzineは相性がいい可能性が高いです。
逆にお店に来てもどんな本が並んでいるか、どんなお店なのかもほとんど興味がないかのようにカウンターに一直線、面白くもない話を話すだけ話して何も買わずに帰る人のzineは大抵うまくいきません(何も買わなくても、この人面白いなと思わされてしまったものはその限りではありません)。ここは後でちょっと書きます。
お店の棚をしっかりみてくれる人や何か買ってくれる人は「このお店がどんなお店なのか?」をしっかり考えているし「その人の興味にしっかりと刺さるものが置いているお店」となっている事なのでzineの作者も相性を考えて置いて欲しいと依頼をしているのでうまく行くことが多いように思います。

2.こんなzineがうまくいく(事が多い)その2、お店の事も考えてくれる人

1.にも関連するのですがお店で本を買ってくれたり、自分のzineを置いてるお店のことも考えてくれる人のzineはうまく行くことが多いです。そういう人はSNSで発信する際も「zine出しました!」だけでなく「ここに置いてます!このお店はこういう雰囲気なんですよ!」という丁寧な発信をしている人が多い印象です。ただ「いいお店」と書くだけでなく「こういう本を買いました。こんなのものがありました」と書いてあるとzineの作者がお店を気に入っている印象が強まるのか「このzineを買うならここにしよう!」と思う方が多くなるように感じています。中には「そのお店限定の何か」なんかもつけてくれる人もいますがそこら辺はお店と作者の関係性によるのではないかと思います(ただこれはzineに限らず、一般書籍でも当てはまる気がします)。

3.面白そうと思ってもご用心その1、リテラシーの低い人

「zine置かせてください」というメールを送ってくる人の中には明らかに「それはない」って人が結構います。メールの使い回しの修正漏れで宛名が違っていたりとかもありますが、やはり一斉に複数のアドレスにto、ccで送ってくる人とはその後の精算などのやり取りでトラブルになる予感しかしないので(それが面白そうであったとしても)取引はしない方が無難だと店主は思います。

4.面白そうと思ってもご用心その2、店内を眺めることもしない人

1でも触れましたが、店内をほとんど見て回るようなこともしない人で話も大して面白くない人は「置いてもらう」事にしか関心がないので置いてもらったらその後は特に関心がありません。不思議とそういう人は「私のzineここに置いてます」とPRすることもあまりされない人が多く、結果塩漬けになってしまうことが結構あります。
(さらにいうと「そろそろ返本したいのですが…」と連絡しても返信がない場合もあったりで…、もっというと「置かせてください」と来て、「いいですよ」と答えたのに全然送ってこないので結局断るなんて人もいたり…)。

なんか思ったより類型化できてない気もするのですがzineは一般書籍よりも作り手との関係性が重要になってくるのでお店側としてはそこら辺を踏まえた上でうまく活用してみると楽しいと思います。またどんな形でもいいので納品書はちゃんと貰っておいたほうがいいと思いますのでお取引がある際にはお忘れなく。